第53期 決算説明会【書き起こし】
開催日:2024年9月20日(金)
登壇者:代表取締役社長 小林 直弘
皆様、本日はお忙しい中、足をお運びいただきありがとうございました。
本日の流れとしては、まず第53期の連結業績のハイライト、その後に、事業別に取組事項を、最後に第54期の業績予想についてお伝えをするという流れでまいりたいと思います。
第53期 連結業績ハイライト
まず、第53期連結業績のハイライトになりますが、売上の方が157億9,600万円、営業利益は2億5,300万円、経常利益が3億4,600万円、親会社株主に帰属する当期純利益が2億7,400万円という形で、減収増益ということで終了しております。
売上に関しましては前期比で6,700万円減ということになりました。年賀状事業に関しましては、年賀状の需要減少によって、宛名印刷も年賀パックの方も、受注部数が減少しているという現状がございます。一方で、年賀状の資材関係の受注は好調に推移しているほか、年賀関連のコールセンターやDMなどの業務に関しても売上が伸びている状況です。流通小売店舗のチラシも、受注部数は減少傾向となっておりますが、新規の営業活動に取り組んでおりまして、特に本州の方では、新規で大型のクライアントを獲得しましたほか、チラシ以外のところでも、POPなどの店内販促物やWeb、動画の制作といったところの展開も行ってまいりました。
原材料費については、依然として高騰している状況が続いておりますが、委託業務の内製化を推し進め、また価格転嫁の交渉などもスムーズに行うことができている状況です。
事業別取組事項(TOPICS)
ここからはですね、事業別の取組事項を紹介してまいります。まずは商業印刷に関してですが、こちらは先ほど申しましたとおり、チラシの受注数が減っている状況にはありますが、今まで中心に行ってきたチラシによる販促以外の部分、店内のPOPや什器ですとか、そういった部分の販促物というのが、今まで営業不足だったところもありまして、このあたりに非常に力を入れております。新店出店時の販促支援などにも意欲的に取り組んでおりまして、このあたりは堅調に数字が伸びたところになります。また、収益性の低いクライアントに関しては、条件面の見直しを行ったうえで、交渉を進めております。今後も価格だけではない価値をクライアントに向けて積極的にPRしてまいります。ほかにも、動画制作ですとか、Webですとか、チラシ以外の販促物についても、次の事業の柱にすべく、非常に力を入れて取り組んでいるところでございます。
また、他社との差別化というところで、クライアントとの原稿のやりとりにおいて、入稿や校正をシステム化することで、双方にとって効率的な運用ができるよう取り組んでおります。
第54期に関しても引き続き営業強化により、新規クライアントの獲得を進めていきたいと考えております。また、それとともに、条件面の見直しも引き続き行っていく形で進めてまいります。
新規クライアントの開拓状況ですけれども、第53期は、大型案件として、関東の方で非常に勢力があるスーパーを運営している企業様のチラシ制作業務を獲得いたしまして、こちらの方が堅調に推移いたしました。ほかにも関東に本社があり、大型スーパーを運営する企業様のチラシ制作業務を獲得しまして、第54期から数字となってきている状況にありますし、関西圏で、スーパーのほかにホームセンターを運営している企業様のチラシ制作業務を獲得し、第54期から始動する形になっております。新規クライアントの開拓については、今後も関東・関西方面を中心に注力してまいります。
続いて、年賀関連事業になります。名入れ印刷・年賀パックの販売、ともに件数が下がっている状況ではありますが、価格転嫁を進めるとともに、AIを導入するなどシステム化を図りながら、なるべく人手のかからない工程を組み、業務の効率化を図ることで収益性の向上に努めました。
第54期に関しては、引き続き人件費を抑制しながら工場運営を行うことに注力してまいります。また、今年の10月から郵便料金の値上げがあり、なかなか先行きが見通せない状況ではありますが、大型のクライアントについては9月から受注が開始しており、まだ序盤の序盤ではありますが、現時点では大きな変化は見られておらず、昨年並みの受注ができている状況になります。今後の動向をしっかりと注視してまいります。
第53期のトピックスとしては、日本郵便株式会社から「メダリスト公式フレーム切手」の事務局の運営と印刷・発送業務を受注いたしました。こちらはパリオリンピック・パラリンピックのメダリストの記念切手の発行業務になります。ほかにも、好きな画像をシールタイプの切手にすることができる「オリジナル切手作成サービス」の生産が銀座郵便局で行われておりますが、その事務局の運営を、年間を通して当社がお手伝いさせていただいております。今後も、年賀状業務のノウハウを活用しながら、引き続きこういった業務の獲得を目指してまいります。
次に、地方創生事業についてです。第53期は、自治体の入札・プロポーザルに数多く参加をし、業務を受託することができました。年数をかけながらチャレンジをしてきた事業ですが、ノウハウの蓄積に伴って、受託件数が増加傾向にあります。また、新設した戦略マーケティング部の機能を活用し、しっかりとマーケティングの観点を持った、効果的な提案をしていくことに注力したことで、結果を残すことができたと考えております。
広報誌に関しては、「広報さっぽろ」の制作・印刷業務を過去数年間行ってまいりましたが、それに加えて旭川市、さいたま市の広報誌の制作業務、そして「広報紙ほっかいどう」の制作・印刷・配布業務を受託するなど、大きな自治体の広報誌の業務を受託しております。
そのほか、自治体のホームページの制作についても、第53期に滝川市と網走市を受託し納品が完了しておりまして、第54期には月形町と美幌町のホームページ制作を受注しております。
今後も道内で多くのプロポーザル等が控えておりまして、当社としては、北海道内50の自治体のホームページ制作の受託を目指してまいります。また、あわせて、広報誌制作業務等、そのほかの業務の獲得ができるよう、積極的に取組を進めてまいります。
地域メディア・その他事業について紹介いたします。皆様のお手元にある「地域新聞ふりっぱー」、札幌市内で発行しているフリーペーパーになりますけれども、こちらは誌面の広告収入というところが主になりますが、それと合わせて、ふりっぱーの配布に際して、チラシを一緒に挟んでお届けするサービス、このサービスは今までもあったのですが、機能強化と、事業者の方により使いやすいものへとリニューアルを行って、新たに「ふりポス」という名前で展開を始めております。また、特定の世代をターゲットとしてしっかり捉えようということで、子育て世代応援のための「cofuri」という企画をふりっぱーでスタートし、子育て世代に対する情報発信を行っております。こちら、非常に広告の成約率が高く、また反響も大きいということで、一定の評価を得ているところでございます。
「JP01」を起点とした道内自治体との活動では、地域の特産品などを当社のECサイトである「ゼロワンショップ」で取り扱うなどの展開を行っております。また、地域の魅力発信の一環として、『北海道のブルワリーを巡るCRAFT BEER』というムック本を発刊しております。道内の主な書店で販売をしているほか、東京の一部書店でも取り扱っております。これまでこのような有料の書籍を発行することはなかったのですが、今後はこういったものも活用しながら、より収益を得られる取組を進めてまいります。
最後に、その他の取組として、組織面、環境面、他社連携、資産戦略についてご報告いたします。組織面については、先ほども申しあげた戦略マーケティング部に加えて、営業についてもより戦略的に攻めることができる部署ということで「戦略営業部」を新設しております。また、社内の業務効率化というところで、営業部門と制作部門の一部統合を行いました。今後も、より顧客のニーズをとらえた提案を行えるよう組織の再編を行ってまいります。
また、社員教育というところで、社内勉強会を月に一回行っております。今はデジタルを中心にということで、AIの勉強会や生成AIを活用したコンテンツづくりを外部の講師を招きながら実施しております。
環境面に関しては、企業として省エネルギーに力を入れて取り組んでいく必要がございますので、本社エアコンをガス式から電気式へ切替をいたしました。また、伊勢原工場に太陽光発電パネルを設置しており、効果的に運用ができておりますが、本社でも設置ができないか、検討を進めております。冬の期間の運用という課題をクリアできれば、当社だけでなく、取引先様にも提案できる新たなサービスになるのかなと考えております。ほかにも、印刷に使う原版、CPTのプレートというものがありますが、これまでは現像液というものを使用するタイプでしたが、環境に配慮した印刷ということを意識いたしまして、廃液の出ない無処理版のプレートへの切替を行っております。
また、他社連携に関しましては、これは一度報告をしておりますが、BPOに特化した会社である、ベトナムのBPO.MP社という会社に出資をしております。現在、年賀状のデータ入力などはこの会社を活用して行っております。今までは中国の企業に委託していましたが、価格が上昇している点や、一つの国に依存することのリスクもありますので、今後もベトナムを含めて第二、第三の場所の開拓を進めてまいります。
資産戦略というところでは、子会社でありました株式会社グリーンストーリープラスについて、保有する株式をすべて譲渡しております。銀座にお店があり、北海道の食材などをPRできるというところで連携をしておりましたが、コロナ禍の影響が大きく、客足の戻りが悪かったという点や、なかなかシナジーを生み出すことができなかったという点で、全株式の譲渡を実施させていただきました。また、白石工場の建替によってかなり機能集約が図れたこともありまして、菊水工場については一部機能を本社に移転した上で、土地と建物の売却を行いました。固定資産の売却益で5千6百万円ほど計上しております。
第54期の見通し 連結業績予想
続いて、第54期の業績予想になりますが、売上の方が158億円、営業利益が2億6,000万円、経常利益が3億5,000万円、当期純利益で2億8,000万円という形で計画しております。第53期から事業の進め方等は大きく変わりませんが、徐々に年賀状・チラシが減少となっていきますので、これらの事業に頼ってばかりではなく、ほかの事業に軸足を移していきながら、自治体の動きを探っていったり、デジタル関連の事業を推進したりなどして、少しずつ売上と利益の中身を変えていくことに取り組んでいきたいと思います。
また、利益面については原材料の高騰が止まらないという状況になっておりまして、ここに関しては価格転嫁が一つポイントとなってくるかと思いますので、これをしっかりやっていく必要があると考えております。また、年賀状の受注状況については、計画段階では受注件数を抑えた計画を立てております。逆に年賀状が上向きになれば、計画よりも良い数字が見られるのではないかと考えております。このような形で第54期は進めてまいります。
第54期以降の基本方針としましては、昨年発表した長期ビジョンから変わらずに、「社会課題の解決を通じた新しい価値の創出」を念頭に置きながら進めてまいります。
人事・組織戦略というところでは、人材の強化・社員教育には力を入れたいと考えておりますし、賃上げなどの待遇の改善もしっかり行い、社員のエンゲージメント向上も心がけながら事業を進めてまいります。
以降、参考資料になりますので、お手元の資料でご確認いただければと思います。
私からの説明は以上になります。どうもありがとうございました。
質疑応答
質問者:「小売の企業は価格に厳しいイメージがある。ライバル会社の中で、御社が新しくチラシの受注を獲得している背景や御社の強みを伺いたい。」
たしかにチラシの価格競争は厳しい状況にありますが、当社にとってはまだ利益を出せる価格でありまして、特に本州エリアについてはまだまだ勝負できる価格であると考えております。チラシの利益率はそれほど高くないのも事実ですが、チラシに加えて、店内販促物の制作や、キャンペーンの応募用紙、演出物・装飾物の作成、応募内容のデータ入力やコールセンター業務などを含めた事務局運営を受託する場合もあります。また、当社のマーケティング機能を生かして、クライアントの現在の市場のトレンドなどについて資料を作成して、販売企画や販促企画自体を販売するといったことも行っております。
最初の入り口としてはチラシの受注にはなりますけれども、これをきっかけとしてクライアントと深い関係を構築していって、チラシだけではなく、ほかの多様な商材を合わせて利益を獲得していくというところができているのかと思います。